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かを点検する。
(b)タービンロータ軸の軸方向の遊び寸法(スラストスキマ)をダイヤルゲージで測定し組立基準内にあるか点検する。
(c)タービンロータ軸を手で廻し、軽く円滑に回転すると共に異音の発生がないことを確認する。
(注)回転部分を修正した場合は必ず動バランスを取り組立てること。
(5)故障原因と予防
過給機は運転中に数万回転の高速回転をするため異物などがタービンやブロア内に入り込むと非常に強い衝撃を伴いタービンブレードやコンプレッサホィールの羽根が曲ったり折損して飛散し、大きな衝撃音が連続して発生すると同時にケースと干渉したりロータ軸が曲がり運転不能になることもある。このような事故は組立時に異物が排気管内に入っていたり、サイレンサから吸い込んだりせぬように注意すれば避けられることである。
以下運転中に発生する主な事故と原因ならびに予防について説明する。
(イ)過給機タービンロータ軸の焼付け
潤滑油の不足、油膜切れ、ガス浸入などにより発生することが多く、特に潤滑油フィルタの詰り、汚れ等による給油不足の他に始動時のウィング不足や、高負荷運転後の機関急停止など取扱い上の不注意により発生する場合が多い。
(ロ)タービンブレード破損
殆んどの場合は吸排気弁傘部の欠損による破片がタービンブレードに巻き込まれ二次的事故として破損することがある。運転中タービン部から異音が発生したら直ちに機関を停止し、タービンブレードを点検することが重要である。ブレードが曲ったり折損していると高速回転におけるバランスが崩れ、振動が出たり、タービンロータ軸が曲り、大事故となる恐れがある。吸排気弁のスキマを点検するか各シリンダの圧縮状況を点検して傘部欠損シリンダをさがすことが大切である。
(ハ)タービンケースの赤熱
排気温度が異常に高い場合であり、過負荷運転、燃焼不良によるアフターバーニング、機関室温度の異状上昇、排気弁からのガスもれの他、空気冷却器の汚れによる冷却効果の低減、などにより発生する。但し夜間などはタービンケースが赤熱して見えることもあり、正常な排気温度か否かを点検する必要がある。
(ニ)給気圧力の低下
サイレンサカバー(フィルタ)の汚れ、コンプレッサホイールの汚れ、タービンブレードのカーボン汚れ、タービン背圧が高過ぎるなどのほか吸気系統のもれ及び排気ガスのもれなどがある。
コンプレッサホィールの汚れ清掃は少量の清水を高負荷運転中に注入して行う方

 

 

 

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